それはけして作り手のこだわりではなく、食べる人の立場にたった想いから。 素材はスタッフの情熱で「楽しい多彩な食」へとその姿を変え、自らその名を「究極の北海道大衆料理」と呼ぶ。 その噂は瞬く間に広がり、連日深夜まで行列ができるほど。 それが「北海道食堂」です。

1998年、私が青森の大学に赴任が決まった時、 青森といえば「大間の一本釣り本マグロ」をはじめ、
「田子の六片種のにんにく」、匠の技で知られる「陸奥湾のホタテ干し貝柱」など、
世界に誇るすばらしい食材の宝庫ということで、大きく期待が膨らんだ記憶があります。
しかし、いざ青森へ行ってみると飲食店で大間の本マグロを食べられるところはほとんどなく、
人気のにんにく料理店も100%中国産のにんにくでした。
青森の最高級の食材は東京に行ってしまい、何と青森の飲食店で食べられる
かなりの部分が輸入ものだったのです。
私が飲食店を始めるきっかけは、地方がこうした食の植民地状態では、
いつまでたっても地方の経済的自立はおぼつかないという危機感から、
地産池消での、その地域のすばらしい食材をブランド化できる飲食店を つくることで、
この問題にチャレンジしてみようということでした。

このことは実は青森にだけ言えることではありません。
北海道も全く同じなのです。
例えば、小樽の某有名寿司店に行っても何と北海道産の魚介類がいかに少ないことか。
それを「やっぱり北海道は魚がうまいね」といって食べてしまうわけです。
北海道のブランドイメージだけに頼って、実は輸入物を供給しているケースが非常に多いのです。
これは店だけに問題があるのではありません。
観光で訪れた方も、どれが北海道産の素材でつくったものなのか、
北海道産のものはどのようにおいしいのか、北海道でしか食べられないものは何なのか?
といったことにもう少し関心を持ってもらいたいと思います。
そして、できれば、単に北海道産ということだけではなく、北海道の「どこの誰が」「どのような方法で」
作り上げたものかといったことまで調べて、北海道の食材を味わって欲しいと思います。

北海道食堂 オーナー 金谷年展